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オートゲインチューニング実施方法
オートゲインチューニングとは、コントローラ内部にてあらかじめ決められたパターンで加減速動作し、その時の動作から、負荷イナーシャを推定し、それに応じた適切なゲインを自動的に設定することです。
オートゲインチューニングは、以下に示す条件を満たす付加軸にて実施してください。下記条件を満たさない場合、オートチューニング中にエラーが発生し、オートゲインチューニングが中断する場合があります。
オートゲインチューニングを行うときは、通常の手動動作よりも高速動作することがありますので、対象軸の周辺および動作範囲に近づかないでください。
- 自動PosClr機能が有効になっている場合は、無効にしてください。
- セーフティモーション仕様では、監視機能を一時的に無効にしてください。実施方法は、RC8Aセーフティモーション仕様取扱説明書の「既存機能への影響」の「オートゲインチューニングについて」を参照してください。
オートゲインチューニング実施時の条件
- 負荷イナーシャは、モータ仕様内で大きく変動しない。
- モータ、カップリングも含め付加軸の剛性が高い。
- ギアなどのバックラッシュが小さい。
- モータがCCW方向(反時計回り)に2回転、CW方向(時計回り)に2回転の正逆転回転しても問題ない。
オートゲインチューニングの操作手順
この操作は「メンテナ」で実施します。
1
モータ電源をONします。
自動モード、ティーチチェックモードの場合は、手動モードに切り替えてください。
2
CCW(反時計回り)方向に2回転、CW(時計回り)方向に2回転の正逆転回転をしても、問題ない位置へ移動します。
3
基本画面 - [F2 アーム] - [F12 保守] - [F10 軸設定]を押して、「軸設定」画面を表示します。
4
[F7 オートゲインチューニング]を押します。
「オートゲインチューニング」画面が表示されます。
5
オートゲインチューニングを実行する軸番号を選択します。
以下の例は[7軸]を選択している場合の表示です。
6
動作方向を選択します。
以下の例は[マイナス(-)方向]を選択している場合の表示です。
7
重力補償の有り/無しを選択します。
以下の例は[重力補償無し]を選択している場合の表示です。
モータに偏荷重が加わる場合、[重力補償有り]を選択してください。
オートゲインチューニング時の[重力補償有り]を選択すると、サーボ設定パラメータのトルクオフセット値を自動的に計算します。「軸設定」画面で[F5 サーボ設定]を押し、「サーボパラメータ」画面を表示し、[OK]を押すと、計算されたトルクオフセット値が保存されます。
8
剛性を選択します。
剛性は、以下の基準を参考に選択してください。
以下の例は[4]を選択している場合の表示です。
駆動方式 | 剛性の値 |
---|---|
ボールネジ直結 | 4~8 |
ボールネジ減速機付き | 3~7 |
タイミングベルト | 3~6 |
ギア、ラック&ピニオン | 2~6 |
その他低剛性の機械 | 1~3 |
9
[F4 実行]を押します。
以下のシステムメッセージが表示されます。
デッドマンスイッチを押した状態で、ティーチングペンダントの[OK]を押すと、オートゲインチューニング動作を開始します。
オートゲインチューニング動作時は、デッドマンスイッチと[OK]ボタンを押した状態で実行してください。オートゲインチューニング動作中にデッドマンスイッチまたは、[OK]ボタンをはなすと、オートゲインチューニング動作が中断します。
- オートゲインチューニング動作中にペンダントのキーを押すと、オートゲインチューニング動作は中断されます。オートゲインチューニング動作中は、その他のキーを押さないようにご注意ください。
- 「サーボパラメータ設定」画面で、軸有効無効設定を[エンコーダのみ有効]に設定した場合、オートゲインチューニング実行時に「実行できません」のエラーが発生します。
10
モータCCW/CW方向2回転の往復動作を2回繰り返し、初期ゲインを計算した後、最大8往復の微調整動作をします。8往復以内でゲインが確定すれば、オートゲインチューニングは完了です。
オートゲインチューニングが完了すると以下のメッセージが表示されます。コントローラを再起動します。
- 無限回転軸にオートゲインチューニングを行うとCALSET値が失われます。再度CALSETを行ってください。
-
8往復の微調整動作の後、以下の警告が発生する場合があります。
- 「オートゲインチューニングの調整結果が収束しませんでした。」
- ワーニングが発生しても、動作に問題がなければ、そのままゲイン調整を完了してください。異音や振動などがあり、動作に問題がある場合は、機械剛性を変更し、再度オートゲインチューニングを実施してください。
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剛性が低い機械に高剛性を選択したり、逆に剛性が高い機械に低剛性を選択すると、オートゲインチューニング中にエラーが発生する場合があります。この場合は、剛性を変更し、再度オートゲインチューニングを実施してください。
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