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マニュアルゲインチューニングの操作手順
マニュアルゲインチューニングを実施するために設定が必要な項目を以下に示します。
(1)位置比例ゲインの初期値を設定
位置比例ゲインの値を大きくすると、位置決め時間が短くなります。
ただし、機械系の固有振動数以上にゲインを上げると振動やオーバシュートが生じやすくなります。
目安は機械系の固有振動数の1/2πです。
例えば、固有振動数が20[Hz]の場合、位置比例ゲインは、20/2/π=3.2[Hz]程度に設定ください。
詳細は、「サーボパラメータの設定」を参照ください。
(2)トルクオフセットを調整
モータにほぼ一定の偏荷重が加わる場合、トルクオフセットを調整し、偏荷重分のオフセットトルクを設定ください。
(3)速度比例ゲインの限界値を求める
速度比例ゲインを徐々に上げ、異音や振動が発生する限界値を求めます。
(4)トルク指令ローパスフィルタ2時定数2の効果の確認
トルク指令ローパスフィルタ2時定数2を"0"に設定し、再度、速度比例ゲインの限界値を求めます。速度比例ゲインの限界値が下がる場合は、出荷時の設定に戻してください。
(5)速度比例ゲインを設定
(3)、(4)で求めた速度比例ゲインの限界値に対し"0.8倍"した値を速度比例ゲインとします。
(6)速度積分ゲインを調整
速度積分ゲインを徐々に上げ、整定時間、オーバシュート、アンダーシュートが小さくなる様に調整します。
(7)位置比例ゲインを調整
(6)調整後、振動が残る場合、位置比例ゲインを低減してください。(3)~(6)で調整後、整定時間をさらに低減した場合は、異音や振動が生じない程度に、位置比例ゲインを徐々に上げてください。
(8)位置フィードフォワードゲインを調整
整定時間をさらに低減した場合は、異音や振動が生じない程度に、位置フィードフォワードゲインを徐々に上げてください。
(9)コントローラ電源の再投入
(1)~(8)にて設定または、調整、確認した設定を有効にするために、コントローラの電源を再投入します。
コントローラの電源再投入後、設定は有効になります。
(10)全動作範囲、全速度域での動作確認
速度を徐々に変化させ、全動作範囲を動作させてください。特定場所で異音、振動が発生する場合は、機械の摺動にむらがないか確認してください。
また、特定速度で異音が発生する場合、トルク指令ローパスフィルタを調整し、異音低減できないか確認してください。機械の調整、トルクフィルタ調整にて異音がおさまらない場合は、速度比例ゲイン、速度積分ゲインを同一比率で低減してください。詳細は、「速度制御系ゲインの簡易調整方法」を参照してください。
特定速度で振動が、発生する場合は、速度積分ゲイン、位置比例ゲイン、位置フィードフォワードゲインを低減してください。
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本サーボモータは、モータ1回転に3回のトルクリップルが生じます。また、減速機も1回転あたり特定回数のトルクリップルが存在する場合があります。
トルクリップルの周波数が動作速度によって変化するため、リップル周波数と機械の固有振動数が一致する速度で動作が振動的になる場合があります。特定速度の振動が大きい場合は、上記同様、速度積分ゲイン、位置比例ゲイン、位置フィードフォワードゲインを低減してください。 - ゲインチューニングとしては、ツールとしてご使用ください。
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