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安全に関する注意事項

異常検出機能

コンプライアンス機能によって力を制限した場合、ロボットは、外力により力制限方向に動作する場合があります。また、制限方向以外の外力が加わった場合も、制限方向の分力により、動作する場合があります。よって、ロボット調整時の安全を考慮し、以下の異常検出機能が追加されています。

  1. 力制御、手先位置偏差異常(8320152E)
    ロボットツール端の位置偏差が許容値を超えた場合に発生します。偏差許容値の初期値は、X,Y,Z方向が100(mm)、X,Y,Z周りが10(度)です。「ForceParam」コマンドにて偏差許容値を変更する事が可能です。

    偏差許容値を広げた場合、異常検出されなくなる為、必要異常に許容値を広げないでください。
  2. 力制御、指令値異常(8320152F)
    ロボットツール端に異常な力を検出した場合に発生します。力制限割合を高く設定した方向にロボットを突き当て動作させると、このエラーが発生します。エラー発生時、力制限方向や力制限パラメータが正しく設定されているか確認ください。

  3. 力制御、速度制限オーバ(83201530)
    コンプライアンス機能使用中は、高速動作できません。外部速度と内部速度の積が50%を超えた状態で動作命令を実行すると、このエラーが発生します。エラー発生時、内部速度の設定値を下げてください。

  4. 力制御中は動作再開できません。(83201533)
    コンプライアンス機能使用中にコンティニュー起動した場合や、パス再開モードで再起動した場合、本エラーが発生します。

安全に調整して頂く為に

コンプライアンス機能使用中は、パラメータ設定の誤り等により、ロボットが重力方向に落下したり、外力を受け、想定した方向と異なる方向に動作する場合があります。

調整時の安全性を確保する為、位置偏差許容値、各軸偏差許容値を必要以上に広げないでください。また、力制限方向以外の偏差許容値は、「ForceParam」コマンドにて初期値より小さい値(X、Y、Z方向10(mm)、X、Y、Z周り5(度)程度)に設定し、調整実施してください。

コンプライアンス機能のパラメータ調整

コンプライアンス機能使用時の制限力は、力制限割合の値で調整してください。ただし、力制限値と力制限割合との関係は、ロボットの姿勢、方向により変化します。力制限姿勢、方向毎に調整してください。
ロボットは、各関節の静止摩擦力より、外力による関節トルクが大となった場合、力方向に倣い動作します。静止摩擦力が外力による関節トルクより大の場合、ロボットは、力が釣り合った状態で停止します。
コンプライアンス機能使用中にロボットを動作させた場合、姿勢変化により摩擦力が変化する事で、摩擦力と制限力の釣り合い状態が変化し、ロボットが力制限方向(指令値方向)に動作する場合があります。コンプライアンス機能使用中にロボットを動作させる場合、力制限方向へのロボットの動作に注意してください。

位置教示

ロボットの位置は、変数の位置取り込み機能により教示します。変数位置取り込み時の位置は、ロボットの現在の指令位置です。力制限機能により、ロボットを直接押して移動し、位置取り込み(ダイレクト教示)する場合、ロボットの指令位置と実位置が一致しない為、教示位置とロボットの実位置とのずれが生じます。力制限を使って位置教示する場合は、以下の要領で作業してください。

  1. 教示番号用のI型変数を決める。I0を使用すると仮定する。
  2. 以下のプログラムを作成する。
    • P型変数に教示する場合
      ファイル名は、「DirectTeach.pcs」として作成する。

    Sub Main
        P(I0) = Destpos
    End Sub
    • J型変数に教示する場合
    Sub Main
        J(I0) = Destjnt
    End Sub
  3. 教示位置番号をI0に入力し、教示位置移動後、DirectTeachを実行する。

ツール座標、ワーク座標設定

コンプライアンス機能中はツール座標の変更、ワーク座標の変更はできません。

コンプライアンス機能使用中のロボットの動作精度

コンプライアンス機能使用中に動作命令を実行した場合、ロボットの動作軌跡精度は低下します。特に力制限方向は大きく位置ずれを生じる場合があります。精度が必要な動作は、コンプライアンス機能を無効にしてください。
コンプライアンス機能使用中は、ロボットの停止精度が劣化します。
コンプライアンス機能使用中にエンコーダ値確認動作(エンコーダ値確認動作参照)を実行した場合、長時間停止したり、エラー「8320403* エンコーダ値確認動作タイムアウト」が発生する場合があります。停止精度が必要な動作は、コンプライアンス機能を無効にしてください。

 

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